「ターゲットを決める」の意味を、多くの企業が勘違いしている

マーケティングでは、必ずと言っていいほど「ターゲットを明確にしましょう」と言われます。

しかし実際には、この「ターゲット設定」がかなり曖昧なまま進んでいるケースが少なくありません。

たとえば、

  • 30〜40代女性
  • 子育て世帯
  • 中小企業経営者
  • 住宅購入を検討している人
  • 美容に関心がある人

こうした設定をして、「ターゲットを決めた」と考えてしまう。

しかし、これは厳密にはターゲットというより、単に市場を大まかに分類しただけです。

本当に考えるべきなのは、

「その中の、どんな人が、どんな状況で、なぜその商品を必要とするのか」

というところまでです。

属性だけでは、人は動かない

たとえば、同じ35歳の既婚者でも、置かれている状況によって考えていることはまったく違います。

住宅を例にしても、

  • 子どもが生まれて今の家が狭くなった
  • 家賃を払い続けることに疑問を感じ始めた
  • 子どもの入学までに家を建てたい
  • 住宅価格の高騰で予算に不安を感じている
  • 建売では満足できないが、注文住宅は高すぎると感じている
  • すでに何社か相談したが、決め手が見つからない

全員が同じ年齢、同じ家族構成だったとしても、反応する広告や言葉は違います。

「30代子育て世帯」というだけでは、その人が何に困り、何を求め、なぜ今行動しようとしているのかが分かりません。

つまり、

属性はターゲットを説明する要素の一つにすぎない

ということです。

ターゲットの解像度が低いと、言葉も弱くなる

ターゲット設定が曖昧な企業ほど、広告やWebサイトの言葉も抽象的になりがちです。

たとえば、

「あなたらしい暮らしを。」
「理想を叶えるサービス。」
「お客様に寄り添います。」
「未来をもっと豊かに。」

こうした表現が悪いわけではありません。

ただ、対象が広すぎると、誰にでも当てはまる表現しか使えなくなります。

誰にも嫌われない代わりに、

誰にも強く刺さらない。

という状態になります。

反対に、

「値上がりが続いている。でも品質まで妥協したくない。」

というように、相手が抱えている具体的な状況まで絞り込めれば、言葉は急に具体的になります。

ターゲット設定とは、広告配信のためだけに行うものではありません。

伝える言葉の解像度を上げるための作業でもあります。

「困っている人」と「買う人」は違う

ここも、ターゲット設定でよく見落とされる部分です。

ある問題に困っている人がいたとしても、その人全員が顧客になるわけではありません。

同じ悩みを持っていても、

  • そもそも問題だと思っていない
  • 問題だとは思っているが急いでいない
  • 自分で解決しようとしている
  • お金を払ってまで解決したくない
  • 他の商品やサービスを検討している
  • 過去に似たサービスを使って失敗した
  • 今すぐ解決しなければ困る

では、購買意欲は大きく異なります。

つまりマーケティングでは、

「誰が困っているか」だけでは不十分です。

さらに、

「誰が今、その問題を解決するために行動しようとしているのか」

まで考える必要があります。

狙うべきなのは「買う可能性がある人」ではない

ターゲットを考えていると、つい対象を広げたくなります。

「この人にも売れるかもしれない。」

「あの層にも需要があるかもしれない。」

「年齢はもう少し広げてもいいのではないか。」

そうやって条件を追加していくと、

最終的には、

「20〜60代、男女問わず」

「初心者から経験者まで」

「個人・法人問わず」

といった状態になります。

一見すると市場が広がったように見えます。

しかし実際には、

誰を狙っているのか分からなくなっただけ

ということも少なくありません。

マーケティングで探すべきなのは、

「買う可能性がある人」

ではありません。

「最も強く買う理由を持っている人」

です。

ターゲット設定では「誰を捨てるか」も重要

ターゲットを決めるとき、多くの場合は「誰を対象にするか」を考えます。

しかし、本当に重要なのは逆かもしれません。

誰を対象にしないのか。

ここまで決めることで、ターゲットの輪郭がはっきりします。

たとえば、

「価格だけで選ぶ人は対象にしない。」

「短期的な成果だけを求める人は対象にしない。」

「ある程度、自分でも取り組む意思がある人に絞る。」

などです。

これは顧客を拒絶するという意味ではありません。

どの商品にも、向いている人と向いていない人がいます。

対象を広げすぎると、商品そのものまで曖昧になります。

価格も曖昧になる。

強みも曖昧になる。

広告も曖昧になる。

Webサイトも曖昧になる。

そして最終的には、

「結局、何が良いのか分からない」

という状態になります。

ターゲット設定とは「最も強く買う理由」を探すこと

ターゲット設定とは、年齢や性別、職業を決めることではありません。

重要なのは、

「どんな人が、どんな状況で、なぜ今この商品を必要としているのか」

を考えることです。

そして、

誰に売るかだけではなく、誰には売らないのかを決める。

マーケティングで探すべきなのは、

「買ってくれるかもしれない人」ではありません。

最も強く買う理由を持っている人です。

では、その「最も強く買う理由を持っている人」は、どうやって見つければいいのでしょうか。

ここをさらに考えていくと、そもそもターゲットは「人」で考えるよりも、その人が置かれている「状態」から考えたほうがいいのではないか、という話になってきます。

この続きをnoteで掘り下げています。

ターゲットは「人」ではなく「状態」で考える

この記事を書いた人

直塚 一仁 代表取締役 / Webディレクター / プログラマー

佐賀市を拠点に、中小企業・個人事業主のWeb戦略を支援。ホームページ制作からSaaS開発、SEO対策、広告運用まで、デジタル領域をワンストップで手がける。「技術力×提案力」で地域ビジネスの成長を加速させることをミッションに、これまで多数のプロジェクトに携わる。