「情弱」とは何か?

「情弱(じょうじゃく)」という言葉、ネットではよく見かけますよね。もともとは「情報弱者」の略で、情報にアクセスしづらい環境にいる人を指す言葉でした。しかし今では、環境やリテラシーがあっても自ら調べようとしない人──つまり「調べれば分かるのに、調べない人」という意味合いで使われることのほうが圧倒的に多くなっています。(参照:Wikipedia – 情弱

ここで大事なのは、情弱であること自体が「悪い」とか「バカだ」という話ではないということ。 問題なのは、情報格差がそのまま「判断の質」の格差になり、最終的にお金や時間の損失につながるということです。

特にビジネスの世界では、この差は本当にシャレにならないレベルで開いてきています。

そもそも「アンテナを張っている人」はどれくらいいるのか?

結論から言うと、自ら積極的に情報を取りに行っている人は、全体の約16%程度と考えられます。

これはマーケティングの世界で有名な「イノベーター理論」の数字がヒントになります。スタンフォード大学のエベレット・M・ロジャース教授が1962年に提唱したこの理論では、新しい情報やサービスに対する人々の反応を5つの層に分類しています(参照:JMR生活総合研究所 – イノベーター理論)。

分類 割合 特徴
イノベーター(革新者) 2.5% 新しいものに飛びつく。情報感度が極めて高い
アーリーアダプター(初期採用者) 13.5% トレンドに敏感。自ら情報収集し、メリットを判断できる
アーリーマジョリティ(前期追随者) 34% 比較的慎重。周囲の評判を見てから動く
レイトマジョリティ(後期追随者) 34% 消極的。多数派が採用してからようやく動く
ラガード(遅滞者) 16% 最も保守的。定番になるまで動かない

自ら情報を取りに行き、判断して動ける層──つまりイノベーターとアーリーアダプターを合わせて約16%。ロジャース教授はこれを「普及率16%の論理」と呼び、ここを超えられるかどうかが普及の分岐点になるとしました。

逆に言えば、残りの84%の人は「誰かが良いと言ってから動く」か「みんながやってからようやく動く」か「最後まで動かない」かのどれかです。

日本の「学ばない大人」問題は、想像以上に深刻

この16%という数字を裏付けるデータが、日本にはいくつもあります。

社会人の約7割は、自己学習をしていない

リクルートワークス研究所が「全国就業実態パネル調査2018」で調べたところ、仕事に関わる自己学習を行っている社会人は雇用者全体のわずか約33%でした。「本を読む」「詳しい人に話を聞く」「自分で勉強する」といった、決してハードルの高くない行動ですら、約7割の人が行っていないのです(参照:リクルートワークス研究所)。

さらに衝撃的なのは、総務省の「令和3年社会生活基本調査」の結果。社会人の「学習・自己啓発・訓練」に充てる時間は、1日あたり平均でわずか13分。しかもこれは「勉強している人」と「まったくしていない人」を合わせた平均です。実際に継続的に勉強している人は全体の約4%に過ぎず、96%の社会人の週あたりの勉強時間は「0分」だったという報告もあります(参照:Yahoo!ニュース – 横山信弘氏)。

経済産業省のデータでも「学ばない国」ニッポン

2022年に経済産業省が発表した「未来人材ビジョン」でも、日本の社会人のうち社外学習・自己啓発を行っていない人の割合は46%とされています。これはアジア各国と比較しても圧倒的に高い数値です(参照:現代ビジネス)。

ベネッセの「社会人の学びに関する意識調査2024」によると、1年以内に学習経験も今後の学習意欲もない「学習意欲なし」層は約42%。この数字は2022年から3年連続でほぼ横ばいです(参照:PR TIMES – ベネッセ)。

情弱と情強の「考え方の違い」は何か?

数字を見てきましたが、では具体的に「情報に強い人」と「弱い人」では、何が違うのでしょうか。

違い①:「正解を探す」か「判断材料を集める」か

ヘルスリテラシーの研究で興味深い指摘があります。日本人は情報を「選択肢の比較による意思決定」に使うのではなく、「正しい答えを教わろうとする」傾向があるとされています(参照:健康を決める力)。

つまり、情報に強い人は「複数のソースを比べて自分で判断する」のに対し、そうでない人は「誰かが正解を教えてくれるのを待つ」。この姿勢の違いは、ビジネスにおいても顕著に表れます。

たとえば、「Googleビジネスプロフィールを活用したほうがいい」と言われたとき──

  • 情報に強い人は、Googleの公式ヘルプを読んだり、関連するブログや記事などを検索等により自分のビジネスに合った設定方法を調べ、運用しながら改善する
  • そうでない人は、「よく分からないから誰かにやってもらおう」と丸投げするか、そもそも何もしない

どちらが結果を出せるかは、言うまでもありません。

違い②:「変化をチャンスと見る」か「脅威と見る」か

イノベーター理論のアーリーアダプター層は、新しいものに対して「これで何ができるか?」と考えます。一方、レイトマジョリティやラガード層は「本当に安全なのか? みんなはどうしてるのか?」が先に来ます。

AIの登場がまさにそうです。ChatGPTなどを、いち早くビジネスに取り入れた事業者と、「AIなんてよくわからない」と距離を置いている事業者。この差は、1年後、2年後に取り返しのつかない差になるかもしれません。

違い③:「情報の一次ソースにあたる」か「又聞きで満足する」か

世界価値観調査によると、日本人はテレビや新聞などのマスメディアへの信頼度が欧米に比べて非常に高く(60~70%)、逆にインターネットへの信頼度は調査対象25カ国中で最低の51%とされています(参照:健康を決める力)。

しかし、インターネットの本当の強みは、専門的な論文や公式データなどの一次情報に直接アクセスできることです。テレビの情報は誰かが編集した「二次情報」です。一次ソースにあたる習慣があるかどうかが、判断の精度を大きく左右します。

デジタルデバイドは「年齢」だけの問題ではない

「情弱=高齢者の問題」と思われがちですが、それは一面的な見方です。

総務省の「令和5年通信利用動向調査」によると、日本のインターネット利用率は全体で86.2%。13~69歳は90%を超えていますが、年収別に見ると、年収200万円未満の世帯では約60%にとどまる一方、年収400万円以上では90%を超えています(参照:ジチタイワークス)。

つまり、年齢だけでなく、所得や教育、地域といった複合的な要因が情報格差を生んでいます。そして、情報格差はさらなる所得格差を生む──この悪循環が、まさに今の日本で起きていることです。

「情弱」から抜け出すためにできること

では、どうすればいいのか。難しく考える必要はありません。

1. まず「調べる習慣」をつける
分からないことがあったとき、人に聞く前にまず自分で調べてみる。Googleで検索するだけで、たいていの疑問には答えが見つかります。

2. いろんな情報を自分で学ぶ
「〇〇らしいよ」という又聞きではなく、いろんなサイト等を能動的に検索し、活用例などを自分で学ぶようにする。

3. 新しいツールを「とりあえず触ってみる」
AI、SNS、業務ツール──何でも構いません。完璧に使いこなす必要はないので、まずは触ってみる。触らなければ、良し悪しも判断できません。

4. 「知らない」を恥ずかしがらない
本当に情報に強い人は、「自分が何を知らないか」をよく分かっています。知らないことを認めて、素直に学ぶ姿勢が一番大切です。

私たちアルラボが考える「情報格差」の問題

私たちアルラボは、佐賀を拠点にWeb制作やデジタルマーケティングの支援を行っています。日々、地方の中小企業や個人事業主の方々と接する中で、情報格差がそのままビジネスの成果の差に直結していることを痛感しています。

「うちはネットに詳しくないから」「SNSとかよく分からないから」そう言って何もしないままでいると、同業者が一人、また一人とデジタルを活用し始め、気がつけば取り残されている。そんなケースを数えきれないほど見てきました。

逆に、少しでもアンテナを張って、新しいことに挑戦する事業者さんは、着実に成果を出しています。16%の側に入るのは、実はそれほど難しいことではありません。「調べてみよう」「やってみよう」と思えるかどうか、それだけの違いです。

Googleビジネスプロフィールの活用、SNS運用、AI時代の集客戦略など、「何から始めればいいか分からない」という方は、ぜひお気軽にアルラボにご相談ください。あなたのビジネスに合った、最初の一歩を一緒に考えます。

About the author

Kazuhito Naozuka Representative Director / Web Director / Programmer

Based in Saga City, supporting web strategy for small and medium-sized businesses and sole proprietors. Handling everything from website creation to SaaS development, SEO optimization, and ad management across the digital domain. Our mission is to accelerate the growth of regional businesses through "technical expertise × strategic proposals." We have been involved in numerous projects to date.