Xのアルゴリズム公開で見えてきたもの。Xの中身とInstagramとの違い

Xのアルゴリズム公開で見えてきたもの。Xの中身とInstagramとの違い

2026年5月、Xのおすすめ表示の仕組みに関するコードが、GitHub上で更新・公開されました。Xは以前にもアルゴリズムを公開していましたが、今回はAI(Grokベースのモデル)を中心とした新しい仕組みに刷新された内容になっています。

公開されたのは、Xの「For You」フィード、つまりおすすめ投稿を表示する仕組みに関するコードです。これにより、Xがどのように投稿を選び、どのようにユーザーに表示しているのか、その考え方の一部が見えるようになりました。

もちろん、公開された内容だけでXのすべてを完全に理解できるわけではありません。実際に運用されている細かな調整や、すべての評価基準が分かるわけでもありません。それでも、企業や店舗がSNSを活用するうえで重要なヒントがあります。

結論から言えば、XもInstagramも、今は「投稿したものが順番に表示される場所」ではありません。ユーザーの興味や過去の反応をもとに、見られやすい投稿が選ばれる場所になっています。つまり、SNS集客で大事なのは投稿回数を増やすことだけではなく、「誰に向けて、どんな反応をしてもらうために投稿するのか」という考え方です。これがこれまで以上に重要になっています。

Xのアルゴリズム公開で何が分かったのか

今回公開された内容を見ると、Xのおすすめ表示は、単に新しい投稿を順番に並べているわけではありません。大まかには、次のような流れで投稿が選ばれています。

  1. ユーザーに合いそうな投稿を集める
  2. 投稿者や投稿内容、反応状況などの情報を加える
  3. 不適切な投稿や重複した投稿を除外する
  4. ユーザーが反応しそうかを予測する
  5. 表示する投稿を決める

そして今回の公開で最も大きな特徴は、Xが投稿を選ぶときの「人の手で作った評価基準」をほぼ廃止したことです。以前は人が決めた細かなルールが多くありましたが、今回の仕組みでは、それらを取り払い、AIモデルがユーザーの反応履歴(何にいいねし、何に返信し、何をシェアしてきたか)を読み取って、その人に合う投稿を判断しています。

これが意味するのは、小手先のテクニックでアルゴリズムを攻略する余地が小さくなっているということです。AIが投稿の中身と文脈を理解したうえで「この人に関係があるか」を見ているため、結局は投稿の中身そのものと、それに対する反応が問われます。

もう一つ重要なのは、フォローしている人の投稿だけでなく、フォローしていない人の投稿も候補に入るという点です。つまり、自社アカウントのフォロワーが少なくても、投稿内容によってはフォロー外の人に届く可能性があります。一方で、フォロワーが多くても、ユーザーにとって関係が薄いと判断されれば、思ったほど表示されないこともあります。

これは、企業や店舗のSNS運用にとって大きな意味があります。「フォロワーを増やせばよい」「毎日投稿すればよい」「キャンペーン情報を出せばよい」という考え方だけでは、十分ではないということです。

Xで重要なのは、会話と反応

Xでは、文章をきっかけに反応が起きます。たとえば、次のような行動です。

  • いいね
  • 返信
  • リポスト
  • 引用
  • リンクのクリック
  • プロフィールの閲覧
  • 投稿を読む時間

これらはすべて、ユーザーがその投稿に興味を持ったかどうかを判断する材料になります。そのため、Xでは単なるお知らせよりも、読んだ人が反応しやすい投稿が重要です。きれいな写真だけではなく、考え方や知識、意見、問題提起が反応につながりやすい場だと考えた方がよいでしょう。

企業や店舗が間違えやすいSNS運用

企業や店舗のSNS運用でよくある間違いは、宣伝ばかりになることです。たとえば「本日も営業しています」「新商品が入荷しました」「キャンペーン中です」「ご来店お待ちしています」といった投稿です。

もちろん、こうした投稿が必要な場面もあります。しかし、これだけではユーザーが反応する理由が弱くなります。SNSを見る人は、企業の宣伝を見たいわけではなく、自分に関係のある情報、自分の悩みに役立つ情報、誰かに教えたくなる情報を見ているからです。

さらに注意したいのは、無反応よりも怖いものがあるという点です。今回公開された仕組みでは、いいねや返信などのプラスの反応だけでなく、「興味がない」「ミュート」「ブロック」「報告」といったマイナスの反応も評価に組み込まれています。プラスの反応はスコアを上げ、マイナスの反応はスコアを下げる仕組みです。

つまり、宣伝ばかりの投稿を続けて「興味がない」「ミュート」が増えると、表示されにくくなる方向に働きます。ただ反応がないだけでなく、評価そのものを下げてしまう可能性があるということです。

「毎日投稿すればよい」という考え方にも注意が必要です。今回の仕組みには、同じ投稿者の投稿が連続して表示されにくくなるよう、表示の偏りを抑える調整が入っています。同じアカウントから何度も投稿しても、その分だけ表示が増えるわけではありません。投稿の回数よりも、一つひとつの投稿が反応を得られるかどうかが重要になります。

そのため、投稿の考え方を変える必要があります。「何を売りたいか」ではなく、「相手は何を知りたいか」から考えるべきです。

悪い投稿と良い投稿の違い

たとえば飲食店であれば、単に「本日営業中です」と投稿するよりも、次のようにした方が伝わりやすくなります。

「初めて来店する方に一番選ばれているランチメニューを紹介します」

美容室であれば、単に「予約受付中です」ではなく、次のような投稿が考えられます。

「髪が広がりやすい方が、カット前に知っておきたいポイント」

小売店であれば、「新商品入荷しました」だけではなく、次のように伝えられます。

「どの商品を選べばよいか迷う方へ。失敗しにくい選び方を紹介します」

BtoB企業であれば、「サービス紹介です」よりも、次のような投稿の方が読まれやすくなります。

「導入前によくある不安と、事前に確認しておくべきこと」

どの業種でも共通しているのは、売り込みではなく、相手の疑問や不安に答えることです。

Instagramでも同じ傾向はあるのか

Instagramでも、同じ傾向はあります。ただし前提として、Instagramの場合はXのようにコードが公開されているわけではありません。責任者のアダム・モセリ氏の発信や、Instagramの公式アカウントが説明している範囲から分かっている、という違いがあります。

そのうえで、Instagramも投稿を単純に時系列で表示しているわけではありません。フィード、ストーリーズ、リール、発見タブなど、それぞれの場所でユーザーに合いそうな投稿が選ばれています。Instagramで見られているのは、たとえば次のような行動です。

  • 投稿を見たか
  • どのくらい見続けたか
  • 保存したか
  • DMで友だちに送ったか(シェアしたか)
  • コメントしたか
  • プロフィールを見たか
  • 過去にそのアカウントと交流があるか

特にInstagram側は、責任者のアダム・モセリ氏が「視聴時間」「いいねの割合」「DMでの送信」を重要な要素として公表しています。なかでもDMで誰かに送られることは、新しい人に届くうえで強い信号とされています。「本当に役立つから人に教えたくなる」投稿が伸びやすいということです。

XとInstagramの違い

XとInstagramの違いを簡単に言えば、Xは「言葉で興味を引くSNS」、Instagramは「見た瞬間に興味を引くSNS」です。

Xでは、文章の中身が重要です。一方でInstagramでは、写真や動画の第一印象が重要です。投稿を見た瞬間に、何の投稿なのか、誰に向けた内容なのかが伝わらなければ、すぐに流されてしまいます。

反応されやすい投稿の性質も異なります。Xでは意見・解説・比較・問題提起・会話が反応につながりやすく、返信や引用によって広がっていきます。Instagramでは写真・動画・ビフォーアフター・事例・保存したくなる情報が伸びやすく、リールで見続けられたり、保存されたり、DMでシェアされたりすることで広がります。

この違いを理解せずに、同じ内容をそのまま両方に投稿しても、効果は出にくくなります。

Xで投稿するなら何を意識すべきか

Xでは、文章で反応を生むことを意識します。向いている投稿は、次のようなものです。

  • よくある勘違いを正す投稿
  • 初心者向けに分かりやすく説明する投稿
  • 比較して違いを伝える投稿
  • 失敗例と改善策を伝える投稿
  • 業界の裏側や考え方を伝える投稿
  • 質問したくなる投稿

たとえば「安いから悪い、高いから良いとは限りません。大事なのは、目的に合っているかどうかです」といった投稿は、読んだ人が考えやすく、反応もしやすくなります。Xでは、投稿を見た人に「なるほど」「それは知らなかった」「自分にも関係がある」と思ってもらうことが大切です。

Instagramで投稿するなら何を意識すべきか

Instagramでは、見た瞬間に伝わることが重要です。向いている投稿は、次のようなものです。

  • ビフォーアフター
  • 事例紹介
  • 短いノウハウ
  • 保存しておきたいまとめ
  • 手順の紹介
  • 商品の使い方
  • 初めての人向けの案内

Instagramでは、文章をじっくり読ませる前に、まず画像や動画で目を止めてもらう必要があります。特に大事なのは、最初の1枚目や動画の冒頭です。そこに何が書いてあるかで、見られるか流されるかが決まります。

「初めての方が失敗しない選び方」「来店前に知っておきたい3つのこと」「よくある失敗と対策」「人気の商品が選ばれる理由」といった見せ方が分かりやすい例です。Instagramでは、おしゃれさだけでなく、分かりやすさも重要です。

SNS集客で本当に大事なこと

Xのアルゴリズム公開で見えてきたのは、細かい裏技ではありません。大事なのは、SNSがユーザーの反応をもとに表示する投稿を選んでいるということです。企業や店舗が考えるべきことは、次の3つです。

1. 誰に向けた投稿なのかを明確にする

誰にでも向けた投稿は、誰にも刺さりにくくなります。初めての人なのか、比較検討中の人なのか、既存のお客様なのか。相手を意識するだけで、投稿内容は変わります。

2. 相手が反応しやすい内容にする

いいね、保存、シェア、返信、クリックなど、どんな反応をしてほしいのかを考えて投稿する必要があります。

3. 投稿テーマをそろえる

日によって内容がバラバラだと、何の専門アカウントなのか伝わりにくくなります。自社が何の相談に乗れるのか、どんな価値を提供できるのかが伝わる投稿を続けることが大切です。

まとめ

Xのアルゴリズム公開によって、SNSの仕組みが少し見えやすくなりました。XもInstagramも、単に新しい投稿を順番に表示しているわけではなく、ユーザーの興味や過去の反応をもとに、表示する投稿を選んでいます。

ただし、XとInstagramでは反応されやすい投稿が違います。Xでは言葉による解説・意見・比較・問題提起が強く、Instagramでは写真や動画による分かりやすさ、保存したくなる情報、事例紹介が強くなります。

企業や店舗がSNSを使う場合、アルゴリズムを裏技で攻略しようとする必要はありません。今回の公開からも分かるように、AIは投稿の中身を理解したうえで、ユーザーの反応をもとに表示を決めています。大事なのは、見込み客が知りたいことを、分かりやすく、反応しやすい形で発信することです。

SNS集客では、「何を投稿するか」だけでなく、「誰に、どんな反応をしてほしいのか」を考えることが重要です。

この記事を書いた人

直塚 一仁 代表取締役 / Webディレクター / プログラマー

佐賀市を拠点に、中小企業・個人事業主のWeb戦略を支援。ホームページ制作からSaaS開発、SEO対策、広告運用まで、デジタル領域をワンストップで手がける。「技術力×提案力」で地域ビジネスの成長を加速させることをミッションに、これまで多数のプロジェクトに携わる。