接骨院・整体院のWeb集客を考える

接骨院・整体院のWeb集客を考える

「うちは技術には自信がある」「来てくれた人は満足してくれている」
そう思っているオーナーさんは結構多いと思います。でも思ったほど新規のお客さんが来ない。紹介はあるけど、それだけでは伸びない。なんとなく集客が物足りない。

その原因は、技術の問題ではないかもしれません。

どれだけ腕が良くても、お客さんに見つけてもらえなければ意味がない。見つけてもらっても、「ここ、良さそうだな」と思ってもらえなければ来院にはつながらない。

この記事では、整体院・接骨院を探しているお客さんが、実際にどういう行動をとって、何を基準にあなたの院を選んでいる(あるいは選んでいない)のかを、データと現場の実態をもとに整理します。

そもそも「接骨院」と「整体院」の違いをお客さんはわかっていません

接骨院(正式には「柔道整復師の施術所」。「整骨院」という呼び方が広く使われていますが、正しくは「接骨院」です)は、国家資格である「柔道整復師」を持つ施術者が運営する施術所です。骨折・脱臼・捻挫・挫傷・打撲といった外傷に対する施術が本来の守備範囲で、これらには健康保険が適用されます。一方、整体院は民間資格で開業でき、保険適用はありません。全額自費です。

制度上はまったく別のものなのですが、現実はどうかというと——お客さんのほとんどがこの違いを理解していません。ある調査では、9割以上の人が接骨院と整体院の違いを正しく認識できていなかったという結果が出ています(リザーブリンク「予約ラボ」2016年調査)。

つまり、お客さんは「腰が痛い」「肩がつらい」という自分の症状から出発して、接骨院も整体院もまとめて「体をなんとかしてくれるところ」として探しています。接骨院側が「うちは国家資格を持っています」とアピールしても、残念ながらそれだけでは消費者にはあまり響かないのが現実です。

ここを理解しておくことが、集客を考える上での出発点になります。

お客さんの行動は「症状の緊急度」で変わる

整体院・接骨院の面白いところは、お客さんの検索行動が症状によってまったく違うということです。

たとえば、慢性的な肩こりで院を探す人。この人には「今すぐ」という切迫感がありません。Googleで検索して、いくつかの院を比較して、口コミを読んで、ホームページを見て、料金を確認して、「来週の休みに行ってみようかな」——こういう流れになります。つまり比較検討の時間がある。

一方、ぎっくり腰になった人はどうか。今朝、腰をやってしまった。動けない。とにかく今日どうにかしてほしい。この人がやることは、スマホで「ぎっくり腰 佐賀 今日」と検索するか、Googleマップで「近くの整骨院」を開くか、です。比較検討する余裕なんてありません。「近い」「今日やってる」「口コミがそこそこ」の3つが揃ったら、もうそこに電話しています。

同じ「接骨院を選ぶ」という行動でも、肩こりとぎっくり腰ではまったく違うゲームになっている。これを理解しているかどうかで、ホームページの作り方もGoogleビジネスプロフィール(GBP)の運用も変わってきます。

遠くの院にわざわざ行くか?行かないですよね?

整体院・接骨院は「通う」ことが前提のビジネスです。1回行って終わりではなく、特に施術初期は週1〜2回の来院が一般的です。となると、自宅や職場から遠い院を選ぶ人はほとんどいません。「日常的に通える距離」が絶対条件。だからこそ、Googleマップでの検索——つまり位置情報をベースにした「近くの院」検索が主戦場になります。

ただし例外はあります。「○○専門」として特定の症状に突出した評判を持つ院、いわゆる「ゴッドハンド」的な存在の院には、遠方からわざわざ来る人がいます。でもそれは指名検索で来る世界の話であって、Googleマップの上位表示で競争する世界とは別です。大多数の院はそこにはいない。

つまり、99%の院にとっての勝負は「近くで探している人に、ちゃんと見つけてもらえるかどうか」です。

「突出した特徴がない院」はどうやって選ばれるのか

少し考えてみてください。

お客さんから見ると、多くの整体院・接骨院は「どこも同じに見えている」。柔道整復の施術所は全国で5万カ所を超えています(厚生労働省 令和2年衛生行政報告例)。さらに整体院やリラクゼーションサロン、整形外科も含めると、選択肢は膨大です。

技術に大差がないとは言いません。でも、お客さんには技術の違いが事前にわからない。来院して施術を受けるまで、本当に腕が良いのかどうかは判断できないのです。

では何で選んでいるのか。

全国1,000人を対象にしたアンケート調査(インターリンク社 2022年)によると、整体院・鍼灸院を選ぶ判断基準は「価格」が76.7%でトップ、次いで「口コミ・評判」が過半数を超えています。つまり、自分の予算に合う価格帯の中から、口コミの評判で絞り込んでいる。

さらに、整体院のホームページで調べる人が最も多く、次いで友人知人からの紹介、実際の店舗(通りがかり)、看板やチラシ、ホットペッパーなどの検索サイト——という順番です(カラダファクトリー調査)。

「技術で差がつかない(ように見える)なら、見つけてもらう力で差がつく」。これがこの業種のリアルです。

口コミは最大の武器であり、最大の地雷でもある

口コミの重要性を示すデータは明確です。同じインターリンク社の調査で、86.9%の人が口コミを参考にすると回答しています。信頼されている口コミの場はホットペッパービューティーが5割以上、Googleマップが3割以上。

逆に言えば、口コミが少ない院、あるいは口コミの評価が低い院は、それだけで候補から外されるということです。

ただし、ここで絶対にやってはいけないことがあります。口コミ操作です。

「口コミで★5をつけてくれたら次回500円引き」「知り合いに口コミ書いてもらう」——こういった行為はGoogleのポリシーに明確に違反します。発覚した場合、Googleビジネスプロフィールが停止される(いわゆるBAN)可能性があります。実際にGBPを停止された佐賀県の接骨院の事例は存在します。

Googleマップ上から院が消えるということは、「近くの整骨院」と検索した人の候補に表示されなくなるということ。地域ビジネスにとっては致命傷です。

正しい口コミの増やし方は、シンプルです。まず良い施術と接客を提供する。その上で、施術後に「もしよろしければ、Googleに感想を書いていただけると嬉しいです」と自然にお願いする。報酬や特典は付けない。この地道な積み重ねしかありません。

そして見落としがちですが、口コミへの返信も重要です。返信がある院は「ちゃんと運営されている」という印象を与えます。ネガティブな口コミに対しても、誠実に返信すること。それ自体が、他の閲覧者への信頼構築になります。

Googleマップ(GBP)が最前線になる理由

ここまで読んでいただければ、Googleビジネスプロフィール(GBP)の重要性はもう明らかだと思います。

整体院・接骨院を探すお客さんの多くは「地域名+整体」「近くの整骨院」といった検索をします。その結果、Google検索の上部に表示されるのがGoogleマップの情報です。ホームページよりも先に、マップが目に入る。

しかも先ほど触れた「緊急度の高いお客さん」——ぎっくり腰で今すぐ院を探している人は、Googleマップの検索結果だけで来院を決めることも珍しくありません。ホームページまで見に行く余裕がないからです。

つまり、GBPの情報が不十分であること自体が、集客の機会損失になっています。具体的にチェックすべきポイントは以下です。

営業時間は正確か。祝日や臨時休業の情報は更新されているか。施術メニューと料金は掲載されているか。院内の写真は載っているか(清潔感のある写真は来院のハードルを下げます)。施術者の顔が見える写真はあるか。電話番号はワンタップで発信できるか。

これらが揃っていて、口コミの評価がそれなりにあれば、緊急度の高いお客さんも安心して電話できます。逆にこれが整っていないと、いくら技術があっても選ばれるチャンスを逃しています。

ホームページの役割は「背中を押す」こと

では、ホームページは不要なのかというと、そうではありません。役割が違うだけです。

Googleマップや口コミで「ここ、良さそうかも」と思ったお客さんが、最終的に来院を決める前にもう一歩確認したい。そのときに見に行くのがホームページです。つまりHPは「見つけてもらう場所」ではなく「来院を迷っている人の背中を押す場所」として機能しています。

ここで接骨院オーナーが知っておくべきことがあります。接骨院(柔道整復師の施術所)は、広告に掲載できる内容が法律で制限されています。「最高の技術」といった誇大表現はもちろん、施術内容の具体的な効果を謳うこと、経歴・出身校を記載することもNG表現にあたる可能性があります。さらに近年は規制が厳しくなっており、「治療」「根本解決」といった表現も使えません(あはき法・柔道整復師法に基づく広告規制)。

つまり、接骨院はそもそもホームページ上での差別化が法的に難しい業種なのです。

その制約の中でHPにできることは何か。院の雰囲気が伝わる写真、施術者の人柄がわかる紹介文、アクセスのわかりやすさ、予約導線の明確さ——こういった「安心感を与える情報」を丁寧に揃えることです。派手な差別化ではなく、「ここなら大丈夫そうだ」と思ってもらうためのHPづくりが、この業種には合っています。

「お客様の声」を症状別にアーカイブする効果

ホームページの中で、もう一つ大きな武器になるのが「お客様の声」の掲載方法です。

多くの院が、トップページや専用ページに「お客様の声」を時系列で並べています。しかし、それだけではもったいない。

先ほどの「緊急度」の話を思い出してください。ぎっくり腰で今すぐ院を探している人がHPに来たとき、お客様の声がズラッと並んでいても、自分と同じ症状の人の声を探す余裕がありません。でも、「ぎっくり腰」というカテゴリでまとめてあれば「あ、同じ症状の人がここで良くなってる」と、一瞬で判断できます。

この「症状別アーカイブ」には、もう一つの効果があります。SEO、つまり検索エンジンからの集客効果です。

「佐賀 ぎっくり腰 整骨院」と検索した人が、症状別のお客様の声ページに直接辿り着く可能性があるのです。トップページが「佐賀 整骨院」といった一般キーワードで勝負する場だとすれば、症状別ページは「佐賀 腰痛 整体」「佐賀 肩こり 整骨院」「佐賀 産後 骨盤矯正」といった具体的なキーワードの受け皿になります。

GBPやホットペッパーの口コミは症状別に整理されていません。時系列で並んでいるだけです。だからこそ、自社サイトで症状別に整理するという一手間が、ポータルサイトにはできない差別化になります。

ポータルサイトという集客チャネル

整体院・接骨院を探すとき、お客さんはGoogleだけを使うわけではありません。ホットペッパービューティーやエキテン、EPARKといったポータルサイトも主要な集客チャネルです。

口コミの信頼度に関する調査では、ホットペッパービューティーが5割以上、Googleマップが3割以上という結果が出ており(インターリンク社 2022年)、ポータルサイト上の口コミも来院の意思決定に大きな影響を与えています。

特にエキテンは無料から掲載を始められるため、まだ口コミが少ない開業初期の院でも取り組みやすいチャネルです。ホットペッパービューティーは掲載に費用がかかりますが、検索上位に表示されやすく、クーポン機能を使った新規集客に強みがあります。

ただし注意点もあります。ポータルサイトは多くの院が掲載されているため、情報が埋もれやすい。掲載するだけでなく、写真の質、施術メニューの説明、口コミの充実度などここで手を抜くと、せっかくの掲載料が無駄になります。

もう一つ。ポータルサイトのクーポン目的で来る新規客は、リピートにつながりにくい傾向があります。割引で集めた客は、別の割引があればそちらに流れる。ポータルサイトは「入口」として活用しつつも、来院後にどうリピートにつなげるかが本当の勝負です。

来院後の勝負は離脱防止

新規の集客は大事ですが、整体院・接骨院のビジネスモデルは「リピート」で成り立っています。1回の施術で症状が改善しきるケースは少なく、継続的な通院が前提です。

ここはWebマーケティングとは直接関係ない「施術の質」「接客」の領域ですが、一つだけ触れておきます。

LINE公式アカウントの活用です。

次回予約のリマインド、自宅でできるセルフケア情報の配信、季節ごとの体調管理のアドバイス——こういった情報をLINEで送ることで、来院の間が空いた患者さんに「そろそろ行こうかな」と思い出してもらうきっかけを作れます。

LINEは幅広い年代が使っているツールですし、整体・接骨院のメイン層である30代〜50代との相性も良い。導入コストも低く、離脱防止の効果は十分に期待できます。

まとめ

整体院・接骨院のお客さんが院を選ぶまでの流れを、改めて整理します。

お客さんは「接骨院と整体院の違い」をほとんど理解していません。「体が痛い、どこか良いとこないかな」というところから行動が始まります。

症状の緊急度によって行動が変わります。慢性的な症状ならじっくり比較、急性の症状ならGoogleマップで最短ルートを探します。

基本的に遠くの院には行きません。「通える距離」が絶対条件です。だからGoogleマップが主戦場になります。

技術の差は事前にわからないので、口コミと価格が判断基準になります。口コミは8割以上の人が参考にしていますが、操作は絶対にNG。GBPのBANは致命的です。

ホームページは「見つけてもらう場所」ではなく「背中を押す場所」。広告規制が厳しい業種だからこそ、安心感を与える情報設計が鍵です。お客様の声を症状別にアーカイブすることで、HPの説得力とSEO効果の両方を高められます。

ポータルサイトも有力なチャネルですが、掲載するだけでは埋もれます。そして来院後のリピート施策——LINEの活用などで離脱を防ぐことが、長期的な経営安定につながります。

 

アルラボならこうやってお手伝いします

ここまで読んで、「やるべきことはわかった。でもどこから手をつけていいかわからない」と思った方もいるかもしれません。少しだけ、私たちアルラボが整体院・接骨院さんに対してどういうお手伝いができるかをお話しさせてください。

まず、私たちはGoogleビジネスプロフィール(GBP)の現状診断から始めます。口コミの状況、掲載情報の充実度、写真の質と量、検索キーワードごとの表示状況——これらを一つずつ確認して、「今、何が足りていないのか」を具体的に洗い出します。感覚や経験則ではなく、実際のデータをもとに診断するので、優先すべき改善ポイントが明確になります。

ホームページの制作・改善も、この業種の事情を踏まえた上でご提案します。接骨院には広告規制があり、「治療」「根本解決」といった表現が使えない。その制約の中で、どうやってお客さんに「ここなら安心だ」と感じてもらうか。症状別のお客様の声ページの設計、来院までの導線、スマホでの見やすさ——こういった地味だけど効く部分を丁寧に作り込みます。

さらに、Googleアナリティクス(GA4)やSearch Consoleのデータも活用します。ホームページにどんなキーワードで人が来ているのか、どのページで離脱しているのか、お問い合わせページまで辿り着いた人はどれくらいいるのか。データを見れば「なんとなく集客が物足りない」の原因が数字で見えてきます。

私たちが大切にしているのは、「施策をやって終わり」ではなく、「それで本当に効果があったのかを検証する」ところまでやること。提案した施策の効果を定期的にデータで確認し、必要なら方針を修正する。この繰り返しが、地域で長く選ばれる院をつくるためには欠かせないと考えています。

最後に

施術所数5万件超、コンビニに迫る数の接骨院がある中で、お客さんに選ばれるためには「腕が良い」だけでは足りません。腕が良いことは大前提として、その上で「見つけてもらう」「選んでもらう」ための仕組みを整える必要があります。

Googleビジネスプロフィールの充実、正しい口コミの積み上げ、症状別のお客様の声、背中を押すホームページ、リピートのための仕組み——これらは特別なことではなく、当たり前のことを当たり前にやるという話です。ただ、当たり前のことをちゃんとやっている院は、実はそれほど多くありません。だからこそ、やった院が選ばれます。

この記事を書いた人

直塚 一仁 代表取締役 / Webディレクター / プログラマー

佐賀市を拠点に、中小企業・個人事業主のWeb戦略を支援。ホームページ制作からSaaS開発、SEO対策、広告運用まで、デジタル領域をワンストップで手がける。「技術力×提案力」で地域ビジネスの成長を加速させることをミッションに、これまで多数のプロジェクトに携わる。